エコノミー症候群の予防と対策

エコノミー症候群の予防と対策

エコノミー症候群とは、正式名称を「深部静脈血栓症」「肺塞栓症」と言い、死に至ることもある病気です。

エコノミー症候群画像1

 長時間同じ姿勢でいることで足の血行が悪くなり、膝の裏辺りに血の塊が出来てしまうことがあります。立ち上がって動き始めた瞬間に血の塊が静脈に流れ始め、心臓を通って肺の動脈に詰まり酸素を供給できなくなり、呼吸困難や全身の血液循環に支障をきたします。

症状としては、足や膝が浮腫み、ふくらはぎや太ももに激しい痛みを伴います。肺の血管が詰まった場合は、突然胸の痛みと息切れが起こります。

 軽度なものから心臓発作のような重症のものまで程度は様々です。「長時間の運動不足」と「乾燥」が主な原因とされており、生活習慣病の方や背が低い方、喫煙者や40歳以上などは発症しやすいため注意が必要です。

エコノミー症候群画像2

6時間以上同じ姿勢でいると、どんな状況でも発症するリスクがあるので、飛行機の中だけではなく、車やオフィスでも起こる可能性があります。また、エコノミークラスだけでなく、ファーストクラスやビジネスクラスでも発症します。

 また自然災害の多い日本では、被災者の方が余震などを恐れて車で寝泊まりし、発症して亡くなられたケースもあるため、被災した際にもどのようなエコノミー症候群対策を取るのかが重要になってきます。

エコノミー症候群予防や対策として、いくつかの方法が挙げられます。

・1つめは、こまめに水分補給をすること。脱水症状になることが危険とされているため、適度に水分補給を行いましょう。被災している場合はなかなか水が手に入らないこともあります。その場合は、少しずつ何回かに分けて飲むようにしましょう。飛行機の中では非常に乾燥していて体内の水分が失われやすいため、普段よりも多く1時間に1回80ml以上を目標に水分を摂ることをおすすめします。

 一度にたくさんの水を飲んでしまうと、心臓に負担をかけてしまうため、こまめに水分を摂るということが重要です。できれば常温の飲み物を選び、特に水がおすすめです。水を飲むだけでも効果は期待できますが、イオン飲料の摂取がより予防効果があるため、支援物資で飲み物を送る際などもイオン水などが良いでしょう。

・2つめは、適度に動くこと。長時間同じ姿勢でいることで血管内に血の塊が出来てしまう病気のため、定期的に足を動かしましょう。1~2時間のフライトでも、積極的に運動をしましょう。場所が狭い場合は、最低1時間に1回は少し離れた場所まで歩いたり、伸びなどストレットをしたり、ふくらはぎをマッサージすると良いです。また、座席を倒したり靴を脱いで楽な姿勢を取るのも1つの予防法です。

・3つめは、ゆったりとした服を着ること。ジーパンなど体を締め付けるような洋服を着てしまうと、血行が悪くなりエコノミー症候群にかかり易くなります。下着も自分に合っているか、ゴムがきつくないかなど、普段からチェックしておくと良いです。薄着をして、下半身を冷やしてしまうのも良くありません。

 靴も革製のものやブーツなどは、血流を悪くしてしまうため、なるべく避けましょう。どうしても革製のものやブーツの場合は、スリッパなどに履き替えると良いです。座っている間はベルトを緩めたり、ボタンを外すなどしてなるべく窮屈にならないよう気を付けます。

・4つめは、足を組まないこと。足を組む癖のある方は要注意です。足を組むことで血行が悪くなってしまうため、なるべく足を伸ばしましょう。また、足を前後にぶらぶら動かしたり、かかとの上下運動を1時間に5分程度行うのも良いです。足を組みたくなった時は、足を動かして気を紛らわせましょう。

・5つめは、アルコールを控えること。アルコールは利尿作用があり尿の出が良くなるため、その分血液中の水分が減ってしまいます。そのままの状態では血の塊が出来やすくなるため、アルコールの量を抑えて水分補給を行いましょう。また、カフェインの含まれている飲み物も、同じく利尿作用があるため注意が必要です。

・6つめは、弾性ストッキングやハイソックスを着用すること。適度な圧迫をふくらはぎに与えることで、足の持つポンプ機能の効果を強め、浮腫みやエコノミー症候群予防の効果もあります。海外の航空会社が推奨している、フライトソックスという商品もあります。ふくらはぎをただ圧迫すれば良いというわけではありません。重ね履きをしてしまうと、きつく締め付けてしまい逆効果となるので避けましょう。弾性ストッキングやハイソックスが無い場合は、美容用のセルローラーなどで刺激し、血流を良くすることも可能です。

いずれも、いつもの生活の中で少し気を付けるだけで行えるものばかりです。水分摂取や運動は特に重要となってくるので、意識して取り組んでみましょう。

では、狭い場所でもできるエコノミー症候群対策のマッサージと運動を紹介します。

・1つめは、足首を動かします。曲げ伸ばしや大きな円を描くように回します。

・2つめは、つま先や指を動かします。座ったままつま先立ちをし、かかとの上げ下ろしを行います。足の指はじゃんけんをするようなイメージで曲げ伸ばしを行いましょう。

・3つめは、ふくらはぎのマッサージ。ふくらはぎ全体をこぶしで軽く叩いたり、足首から膝にかけて優しく擦ります。

・4つめは、肩を動かします。両手を肩に置いて、前後に10回くらいずつ肩を回しましょう。場所が狭い場合は、手を下した状態で肩をしっかりと動かします。片手を肩の上から背中に、もう片方の手を腰の辺りから背中に持ってきてタッチをするストレッチも効果的です。

寝転がる場所がある場合は、仰向けに寝て片方の膝を抱えたり、膝を揃えて腰を捻りながら左右に倒したりするストレッチを左右20秒くらいずつ行いましょう。寝転がる場所があれば下半身のストレッチがしっかりと行えるため、さらに予防効果が高まります。

エコノミー症候群にかかり易いのは高齢者ですが、若い年齢でも妊娠中や出産後のママたちは、血液が固まりやすい性質にあるため、非常にリスクが高くなります。また、経口避妊薬などホルモン治療を行っている方も同様です。

特にリスクの高い分娩は「帝王切開」です。多くの出血に伴い、通常分娩よりも血の塊ができ易くなります。帝王切開術後に初めて体を起こす時やベッドから降りて歩く際などに、何らかの症状がある場合はすぐに医師に伝えましょう。

妊娠中飛行機に乗る場合は、つわりで水分が不足しがちな時期は避け、対策として長時間のフライトの場合は、ゆったりとした衣類と靴を着け、約30分置きに座席周辺を歩きましょう。

 また、通路側でトイレに近い座席を選び、キャビンアテンダントに妊婦であることを伝えます。余裕があれば、2人分座席を取るのも良いでしょう。予定日前であったり、貧血がある方などの搭乗はおすすめできません。

赤ちゃんの場合は、体が小さく血の塊ができにくいので大人に比べて心配はありません。しかし、幼ければ幼いほど大人よりも水分が必要になってきます。

 1日に必要な水分量は体重1kg当たりで、新生児50~120ml、1歳から2歳の乳児120~150ml、3歳から5歳の幼児90~100ml、6歳以上の学童60~80mlとなっているのに対し、大人は40~50mlで十分だと言われています。子どもたちが脱水症状にならないよう、血栓予防のためにも1時間ごとのこまめな水分補給を促しましょう。

トラックチャーター混載便を行うトラックドライバーの長距離運転手やタクシードライバー、体の体制があまり変えられない軽貨物のドライバーも注意が必要です。緊急便だからと無理な運転をせずにエコノミー症候群の予防と対策をしてください。

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