深刻なコンテナ不足

 入札で得たその契約、納期は絶対のはずだった。しかし、「予定通り届けられないかもしれない」。白衣メーカー大手、ナガイレーベンの担当者は、コンテナ不足という思いも寄らない事態に直面し、病院への説明に追われていた。昨年暮れのことだ。

 工場があるインドネシアから、製品の白衣を12月15日出港の船で日本に持ってくる予定だったが、物流会社から遅延の可能性を告げられた。刻々と状況は悪化する。船会社を変えるなどして1月4日に便を出し、なんとか納入予定の1月末に「たまたま間に合った」(幹部)。

 冷や汗をかいた経験から、1月以降は別ルートの船便や航空便による代替策も取った。コストはそれぞれ通常の3〜4倍と20〜25倍。白衣の値上げはできておらず、幹部は「代替の輸送は赤字だが、納期を守るにはやむを得ない」と話す。

 世界的なコンテナ不足は、幅広い影響を及ぼした。ネスレ日本はコーヒーの巣ごもり需要が重なり、コーヒーマシン専用カプセル35種の販売を4月2日から1カ月超休止。セイコーエプソンやキヤノンなどは、4月発表の決算資料にコンテナ不足や船舶逼迫(ひっぱく)による影響を記した。木材価格が高騰する「ウッドショック」など、モノの値上がりにもつながった。牛肉などを米国に送るJA全農の子会社は、国土交通省などが4月に開いた会議で訴えた。「加工から販売の日数が通常より2〜4週間ほど延びている。(傷んだものは)廃棄等している」

 コンテナ不足の原因は複合的だ。まずコンテナメーカーが、米中貿易摩擦などで落としていた生産を新型コロナで一段と減らすが、数カ月後にモノを運ぶ需要が急増。工場生産を早期に回復させた中国から、巣ごもり需要がふくらんだ米国に向けた荷物が増えた。ジェットコースターのような動きに対応できず供給不足に陥った。同時に米国の港では新型コロナ感染や検疫の徹底などで人手不足になり、荷物を下ろしたコンテナがほかの地域に回らなくなった。昨年11月ごろから海上運賃は高騰し、世界の海上物流は混乱した。

 企業が、荷物が遅れるリスクに直面し始めたこの頃、それを伝える立場の物流会社の現場からも多くの悲鳴があがっていた。「御社の交渉不足では?」。ある国内企業の担当者は、コンテナ船が予約できないと伝えた顧客企業から、強い言葉を投げつけられた。今回は特異な現象で、自らにも断片的な情報しかない。顧客に理解されない毎日に「現場は疲弊していた」(関係者)。この状況はいつまで続くのか――。

■業績は絶好調でも「おわび」

 絶好調の決算を説明する4月下旬以降の会見で、海運会社幹部からおわびの言葉が相次いだ。「コンテナ不足で荷物が運べず、迷惑をかけている」引用:朝日新聞デジタル

海運大手3社 “巣ごもり需要”とコンテナ不足影響で大幅増益

海運大手3社の昨年度の決算は、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要の高まりで船で輸送する荷物の量が増えたことなどでコンテナが不足し、荷物を運ぶ運賃が高騰していることから、いずれも大幅な増益となりました。

海運大手が10日までに発表したことし3月までの1年間の決算は、グループ全体の最終利益が、
▽日本郵船が前の年度の4.4倍で1392億円、
▽商船三井が2.7倍となる900億円、
▽川崎汽船は20.6倍の1086億円で、
いずれも大幅な増益となりました。

これは新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が高まり、荷物の量が増えたことなどで、世界的に船の輸送で使うコンテナが不足し、荷物を運ぶ運賃が高騰しているためです。

各社はことし夏ごろからコンテナ不足の解消に向かうと想定していますが、見通しは不透明だとしています。

会見で日本郵船の丸山徹執行役員は「去年も3か月ごとに業績を修正する経験のない1年だったので、コンテナ不足の解消の合理的な予想は難しい。荷物を効率的に運ぶための取り組みを続けたい」と述べました。

コンテナ不足解消は不透明 輸入品価格に影響おそれ

船による運搬に使うコンテナは世界的に不足していて、いつ解消されるかは不透明な状況です。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、自宅で使う商品の“巣ごもり需要”が拡大し、荷物が増えていることや、人手不足でアメリカの港などで荷揚げの作業が滞っていることが要因です。

先月、国土交通省で開かれたはじめての対策会議では、出席した事業者から船の運賃が高騰し、企業の負担が重くなっていることや、輸送の遅れで品質が落ちた農産物を廃棄する事例も起きているなど、日本の企業にも影響が出ていることが報告されました。

海運会社は、必要な港に向けて空のコンテナを運ぶための船を運航したり、古いコンテナを再利用したりしています。

しかし、海外の港では人手不足が続いているうえ、国内にはコンテナを大規模に生産している事業者がなく、コンテナ不足がいつ解消されるかはなお不透明な状況です。

コンテナ不足が長期化すれば、企業の業績だけでなく、海外から輸入している商品や部品の価格にも影響が及ぶおそれも指摘されています。 引用:NHK

国内のコンテナ輸送やチャーター便の輸送にも影響が出るものと考えられます。

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