九州の高速道、 熊本地震で国、高速道路を無料化を検討「復興後押し」
石井啓一国土交通相は16日の衆院予算委員会で、熊本地震の被災地復興や風評被害などで減少している観光客の回復を後押しするため、九州の高速道路の無料化や料金の減額を検討する考えを表明した。政府は東日本大震災の事例を参考に、無料化や料金減額の手法、対象区間、期間などを関係省庁で協議する。
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質問に立った自民党の岩屋毅氏(大分3区)は「国道の一部が止まっているが、高速道路は突貫工事でようやく復旧したので命綱になっている。(料金を)割安にしてほしい」と要望。石井氏は「高速道路の無料、費用の軽減など、いろいろと要望をうかがっているので検討していきたい」と答弁した。
東日本大震災で民主党政権は2011年6月から東北の高速道路で、被災者が運転する車と、被災者以外はトラックなどの中型車以上を対象に通行料を無料にした。被災者の負担軽減や物流の活発化などが目的で、被災者には料金所で罹災(りさい)証明書の提示を求めた。
11年12月からは、被害が大きかった東北の太平洋側で全車種を毎日無料化、日本海側は観光振興を目的に土日と祝日に限って自動料金収受システム(ETC)搭載の普通車以下を無料とした。12年4月以降は東京電力福島第1原発事故による避難者に絞って、無料化を続けている。
東北の場合、料金収入が減る高速道路会社の維持管理費などに充てる予算が必要だった。九州でも財源の確保が課題の一つになるとみられる。トラックチャーター便や混載便をする運送会社にも追い風になる。
引用:2016/05/17付 西日本新聞朝刊