
私的見解と実体験に基づく安全提言
目次
はじめに:事故概要と私的見解の目的
2025年冬、関越自動車道で2名が亡くなり、67台もの車両が絡む大規模な多重事故が発生しました。運送業界に身を置く者として、この痛ましい事故を他人事とは思えません。本稿では、事故原因に対する私自身の見解を述べるとともに、冬季の高速道路や一般道走行時に注意すべき点、特にブラックアイスバーンやミラーバーンの危険性、現場地形の特徴、スタッドレスタイヤやチェーンの重要性、運転者教育、そして緊急時の備えについて、私の実体験を交えて解説します。再発防止の一助となれば幸いです。
冬道運転の経験談:山形県北部・北海道への輸送ルートと冬季の実体験
私は長年、トレーラーで山形県北部・北海道への輸送業務に携わってきました。冬季の山間部では、晴天でも突然路面が凍結し、予期せぬスリップ事故が発生します。特に早朝や夜間、橋の上やトンネルの出入口付近では、見た目には乾いていても薄い氷が張っていることがあり、私自身も何度かヒヤリとした経験があります。運転歴が長くても油断は禁物であり、常に「見えない危険」を意識することが重要です。
冬の始まり・終わりの危険性:ブラックアイスバーン・ミラーバーンの発生要因
冬道で最も注意すべきは「ブラックアイスバーン」と「ミラーバーン」です。ブラックアイスバーンは、路面が薄く透明な氷で覆われ、アスファルトの黒色がそのまま見える現象です。一見濡れた路面に見えますが、実際には非常に滑りやすく、ブレーキやハンドル操作がほとんど効きません。ミラーバーンは、路面が鏡のように光り、さらに滑りやすい状態です。これらは特に冬の始まりや終わり、気温が0℃前後で推移する朝晩に発生しやすく、日中の融雪や夜間の再凍結が主な原因です。
事故現場の特徴:地形・視界・速度の関係
今回の事故現場は、緩やかな下り坂かつカーブが連続する区間で、周囲に山林が広がり、日陰となりやすい地形で緩やかな左下りカーブからの上り坂になる加速しやすい場所です。こうした場所は、日中でも路面温度が上がりにくく、ブラックアイスバーンやミラーバーンが発生しやすい条件が揃っています。また、左下りカーブからの上りなので、運転者はつい速度を上げがちですが、その分、異変に気付きにくくなります。さらに、高速道路特有の「速度感覚の麻痺」も、事故拡大の一因と考えられます。
事故原因の分析:路面認識のズレと加速の危険性
私の見解では、事故の主な原因は「路面状況への認識のズレ」と「加速の危険性」にあります。冬道では、見た目で路面状況を正確に判断するのは極めて難しいものです。特にブラックアイスバーンは肉眼で判別しづらく、油断から速度を落とさず進入してしまうケースが多発します。また、後続車が前方の異変に気付いても、路面が滑りやすいため急ブレーキが効かず、連鎖的に追突事故が起きやすい状況が生まれます。つまり、「安全だろう」という思い込みが、冬道では命取りとなるのです。
冬道運転の注意点:スタッドレス・チェーン・教育の重要性
冬季の運転には、スタッドレスタイヤやチェーンの装着が不可欠です。私は毎年、冬の始まりには必ずタイヤの残溝や硬化の有無を点検し、新品に交換することも厭いません。また、急な降雪や凍結が予想される場合は、チェーンを常備し、装着練習も徹底しています。加えて、運転者への教育も極めて重要です。路面状況の見極め方、速度コントロール、追突防止の車間距離確保など、基本を徹底することで、事故リスクを大きく減らせます。
緊急時の備え:必携品とその理由
万一の立ち往生や事故時に備え、私は以下のものを常に車載しています。
- 防寒着・毛布:車外待機や車内停車時の体温保持
- 飲料水・非常食:長時間の停車に備えるため
- 携帯用トイレ:渋滞や立ち往生時の安心材料
- 懐中電灯・発煙筒:夜間や視界不良時の安全確保
- 携帯充電器:連絡手段の確保
これらは、実際に大雪による長時間停車を経験した際、非常に役立ちました。備えあれば憂いなし、です。
まとめ:再発防止への提言
冬道は想像以上に危険が潜んでおり、油断や思い込みが重大事故を招きます。運転者一人ひとりが、路面の見えない危険を理解し、タイヤやチェーンの装着、緊急時の備えを怠らないことが大切です。加えて、企業としても運転者教育や装備点検を徹底し、安全文化の醸成に努めるべきです。私たち運送業者、そして一般ドライバーがそれぞれ意識を高めることで、悲しい事故の再発を防げると信じています。